正答1
解説
正解は1です。
成人男性の広帯域サウンドスペクトログラム(横軸が時間、縦軸が周波数、黒さがエネルギーの強さ)から、発話された語を読み取る問題です。
母音はホルマント(濃い横帯)の位置、子音は雑音や無音の区間から判断します。
【図の読み取り】
0〜約150msは、約1000Hz前後の低い位置に第1ホルマントと第2ホルマントが近接して濃く現れており、母音「ア」の特徴です。
約150〜270msは、低い周波数帯が白く抜け、約3000Hz以上の高い周波数帯にだけ雑音のエネルギーがあります。
これは声帯振動を伴わない無声摩擦音で、高い帯域に強い雑音をもつ「シ」の子音[ɕ]の特徴です。
約270ms以降は、第1ホルマントが約300Hzと低く、第2ホルマントが約2000Hz以上と高く離れており、母音「イ」の特徴です。
したがって「ア」「シ」「イ」と並ぶ「あし」に一致します。
【選択肢別解説】
1:○ あし(足)が正解です。
母音「ア」、高い周波数の無声摩擦音[ɕ]、母音「イ」という図の3区間と一致します。
2:× あね(姉)ではありません。
「ネ」の鼻音[n]なら低い周波数の鼻音ホルマントが続く有声の区間になり、図のような高い帯域だけの雑音にはなりません。
3:× いぬ(犬)ではありません。
語頭が「イ」なら第1ホルマントが低く第2ホルマントが高い配置で始まるはずですが、図の語頭は「ア」の配置です。
4:× いそ(磯)ではありません。
語頭が「イ」の配置ではなく、語末も「オ」のように第2ホルマントが低い配置ではなく、高い「イ」の配置だからです。
5:× えだ(枝)ではありません。
「ダ」の有声破裂音なら短い閉鎖の後に破裂と有声の区間が続くはずですが、図の中央は長い無声の摩擦雑音です。
【ポイント】
母音のホルマントは、「ア」は第1と第2が近く、「イ」は第1が低く第2が高く離れる、と覚えます。
「シ」「サ」などの無声摩擦音は、低い帯域が抜けて高い帯域に雑音が出る区間として現れます。
【用語】
広帯域サウンドスペクトログラム:横軸を時間、縦軸を周波数として、音のエネルギーの分布を濃淡で表した図の一種である。
ホルマント:声道の共鳴によってできる、スペクトル上でエネルギーが強まる周波数帯である。
無声摩擦音:声帯振動を伴わず、狭めを通る気流の雑音で作られる子音である。
第1ホルマント:最も周波数の低いホルマントで、主に口の開きや舌の高さと関係する。