正答3
解説
正解は3です。
図は2つの発話を記録した狭帯域サウンドスペクトログラムです。
狭帯域分析では横縞の倍音が見え、縞の間隔が広いほど基本周波数(声の高さ)が高いことを示します。
子音の音響特徴で語を、倍音の間隔の変化でアクセントを判断します。
【図の所見】
発話Aでは、最初と0.35〜0.5秒付近に、横縞のない広い帯域の雑音が見えます。
これは摩擦音の[h]と[ɕ](「し」の子音)の雑音であり、発話Aは「はしが」と読めます。
発話Aの倍音の縞の間隔は最初の母音で広く、後半で狭くなり、声の高さが最初の拍で高く、その後下がっています。
発話Bは全体に倍音が見える有声音だけでできており、途中に弱い有声区間(鼻音の[m])を挟みます。
発話Bは「あめが」と読めます。
発話Bの倍音の縞は最初の母音で密で、その後の母音で間隔が広がっており、声の高さが第2拍以降で上がっています。
【選択肢別解説】
1:× 発話Aには摩擦音の雑音があるため「あめが」ではありません。
また発話Bには摩擦音がないため「はしが」でもありません。
2:× 発話Aは「はしが」であり「あめが」ではありません。
語の組み合わせが逆です。
3:○ 発話Aは最初の拍が高く後で下がる頭高型の「箸が」です。
発話Bは最初の拍が低く第2拍以降が高い平板型の「飴が」です。
4:× 「橋」は「ハシ」の「シ」まで高く、助詞で下がる尾高型です。
発話Aのように最初の拍だけが高い型とは一致しません。
5:× 「雨」は「ア」だけが高い頭高型です。
発話Bは最初の拍が低く後が高いので、「雨が」とは一致しません。
【ポイント】
東京方言では「箸(頭高型)・橋(尾高型)・端(平板型)」、「雨(頭高型)・飴(平板型)」が対になります。
狭帯域スペクトログラムでは倍音の間隔、広帯域スペクトログラムではホルマントと縦縞を読み取ります。
【用語】
狭帯域サウンドスペクトログラム:音を細かな周波数分解能で表示し、倍音を横縞として観察できる音響分析の図である。
アクセント:語の中で、拍ごとの高低の配置を決めている規則を指す。
頭高型:最初の拍が高く、次の拍から低くなるアクセント型である。
平板型:最初の拍が低く、2拍目以降は助詞が付いても下がらないアクセント型である。
倍音:基本周波数の整数倍の周波数をもつ成分で、狭帯域分析では横縞として現れる。