45 歳の男性。
右前腕掌側近位に急激な疼痛が出現し、その 3 日後から母指と示指が曲がりにくいとの主訴で来所した。
母指と示指でマルを作る動作を指示したところ、図のような障害を呈した。
考えられるのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
図では、母指と示指でマルを作ろうとしても、母指の IP 関節と示指の DIP 関節が伸展したままです。
指先同士が丸く接せず、指の腹どうしがつまむような形(涙のしずく型が作れない状態)になっています。
これは長母指屈筋と示指の深指屈筋の麻痺を示し、正中神経の枝である前骨間神経の麻痺が考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 母指球筋の萎縮はみられません。
母指球筋は正中神経本幹から出る反回枝(運動枝)に支配され、前骨間神経の支配ではありません。
2:○ 方形回内筋の麻痺がみられます。
前骨間神経は長母指屈筋、示指・中指の深指屈筋、方形回内筋を支配します。
図の所見から前骨間神経麻痺と判断できるため、同じ神経が支配する方形回内筋も麻痺します。
肘を最大屈曲させて円回内筋の働きを除くと、前腕の回内力低下として確認できます。
3:× 示指末節部の感覚異常はみられません。
前骨間神経は皮膚の感覚枝を含まない純粋な運動神経です。
示指末節の感覚異常は、手根管症候群など正中神経本幹の障害でみられます。
4:× 背側骨間筋の萎縮はみられません。
背側骨間筋は尺骨神経の支配であり、前骨間神経麻痺では障害されません。
【ポイント】
前骨間神経麻痺は「涙のしずくサイン(tear drop sign)陽性・感覚障害なし」が特徴です。