25 歳の男性。
1 か月前にバスケットボール中に左膝を打撲した後、膝蓋骨上外側部の圧痛と運動中や運動後の鈍痛で来所した。
単純エックス線写真(別冊 No. 2)を別に示す。
膝の腫脹や安静時痛、骨偏位や不安感(apprehension)はなく、踵殿距離も左右差はなかった。
考えられるのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
膝蓋骨の上外側部に圧痛があり、運動中・運動後に鈍痛が出る若い男性の症例です。
単純エックス線写真は膝関節の正面像で、膝蓋骨は大腿骨顆部に重なって写っています。
膝蓋骨の偏位や新しい骨折を示す鋭い骨折線はみられません。
正面像では膝蓋骨が顆部に重なるため、上外側の分離部は見えにくいことがあります。
腫脹・安静時痛・骨の偏位・不安感がないことから、新しい骨折や脱臼ではなく分裂膝蓋骨が考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 膝蓋骨脱臼ではありません。
膝蓋骨脱臼では膝蓋骨が外側へ偏位し、関節内血腫による腫脹がみられます。
また膝蓋骨を外側へ押すと不安感を示すアプリヘンションテストが陽性になりますが、本例は陰性です。
2:× 膝蓋骨骨折ではありません。
膝蓋骨骨折では関節内血腫による強い腫脹と安静時痛があり、膝の自動伸展が困難になります。
本例は受傷から1か月たっても腫脹や安静時痛がなく、骨の偏位もありません。
3:○ 分裂膝蓋骨が考えられます。
膝蓋骨の骨化核の一部が本体と癒合せずに残ったもので、上外側部に生じる型が最も多くみられます。
分裂部には外側広筋が付着しており、運動による牽引や打撲を契機に痛みが出ます。
骨片の辺縁は丸みを帯びてなめらかで、新しい骨折の鋭い骨折線とは異なります。
4:× 膝蓋腱靱帯炎ではありません。
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の圧痛は膝蓋骨の下極から膝蓋腱にみられます。
本例の圧痛は膝蓋骨の上外側部であり、部位が一致しません。
【ポイント】
分裂膝蓋骨はソウペ(Saupe)分類で、Ⅰ型(下極)、Ⅱ型(外側)、Ⅲ型(上外側)に分けられます。
Ⅲ型が最も多くみられます。
両側性のこともあるため、健側の撮影も鑑別の参考になります。