20歳の男性。
4週前に大学サッカーで相手と接触し、左下肢を痛めた。
最近、膝が曲げにくいと来所した。
膝関節の他動屈曲を行った際、図に示す動作所見がみられた。
原因となる筋はどれか。
正答4
解説
正解は4です。
図は腹臥位の患者の膝を他動的に屈曲していくと、殿部が床(ベッド)から持ち上がる様子を矢印で示しています。
これは尻上がり現象であり、尻上がり現象をみる検査をエリーテストと呼びます。
4週前の接触による大腿前面の打撲(大腿四頭筋打撲)の後に、膝が曲げにくくなった経過とも一致します。
【選択肢別解説】
1:× 腸腰筋は股関節の屈筋で膝関節をまたがないため、膝の屈曲では伸張されません。
腸腰筋の短縮は、仰臥位で反対側の股関節を屈曲させるトーマステストで調べます。
2:× 腓腹筋は膝の屈曲で伸張されるのではなく、ゆるむ筋です。
腓腹筋の短縮では、膝伸展位での足関節の背屈が制限されます。
3:× 半膜様筋は膝の屈筋なので、膝の屈曲ではゆるみます。
ハムストリングスの短縮は、膝伸展位での下肢伸展挙上(SLR)の制限でみます。
4:○ 原因となる筋は大腿直筋です。
大腿直筋は股関節と膝関節をまたぐ二関節筋で、膝を屈曲すると強く伸張されます。
打撲後の筋の瘢痕化や骨化性筋炎で伸張性が低下すると、その張力で骨盤が前傾し、殿部が持ち上がります。
【ポイント】
大腿四頭筋打撲の後遺症として、膝の屈曲制限と骨化性筋炎が重要です。
受傷直後は膝を屈曲位にして安静・冷却し、早期のマッサージや強いストレッチは骨化性筋炎を誘発するため避けます。