〔事例〕
Jさん(83歳、女性)は一人暮らしである。
人と付き合うのが苦手で、近所付き合いもあまりなく、一人で静かに生活していた。
80歳を過ぎた頃から右膝に痛みが出て、変形性膝関節症(knee osteoarthritis)と診断されたが、近くのスーパーへの買物や、近所の散歩には出かけていた。
1か月ほど前から膝の痛みが悪化し、散歩にも行かなくなった。
食事量が減って痩せてきてしまい、一日中、座ってテレビを見て過ごしている。
その後、Jさんは少しずつ回復し、膝の痛みもなく、家の中では何もつかまらずに歩くことができている。
一人で散歩に出ようという意欲も出てきた。
Jさんは、介護福祉職にもっと安定して歩けるように練習をしていきたいことや、外出するときは膝の負担を減らすために杖を使用したいと思っていることを話した。
Jさんに合った、杖を使った歩き方として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答
解説
本問は採点除外(正答なし・公式)です。
社会福祉振興・試験センターは、本問について受験者全員に得点するという取扱いをしました。
公式の理由は、問題文からは選択肢1と3のいずれも正答となる余地があり、「最も適切なもの」を1つ選べないためとされています。
杖は、痛みや障害のある足と反対側の手で持つのが原則です。
Jさんの患側は右膝なので、杖は左手で持つことになります。
左手で杖を持つ歩き方には、三動作歩行(杖、患側、健側の順)と二動作歩行(杖と患側を同時、次に健側)があります。
選択肢1は三動作歩行、選択肢3は二動作歩行にあたり、どちらもJさんに合いうる歩き方です。
事例からは、どちらがJさんに最も適切かを一つに決める根拠が読み取れません。
【選択肢別解説】
1:△ 左手で杖を持ち、杖、右足(患側)、左足(健側)の順に出す三動作歩行です。
安定性が高く、歩行を練習したいJさんに合いうる方法です。
2:× 杖を右手(患側と同じ側)で持っています。
杖は患側の膝の負担を減らすため、健側の左手で持つのが原則です。
3:△ 左手で杖を持ち、杖と右足(患側)を同時に出し、次に左足(健側)を出す二動作歩行です。
痛みがなく安定して歩けるJさんには、速く歩けるこの方法も合いうるといえます。
4:× 杖を右手(患側と同じ側)で持っています。
左手で持つのが原則なので適切ではありません。
5:× 左手の杖と左足を同時に出すと、体を支える面が狭くなり、右足(患側)に体重がかかったまま前に進むことになります。
杖と健側の足を同時に出す歩き方は適切ではありません。
【ポイント】
杖歩行の基本は「杖は健側の手で持つ」「杖の次に患側、最後に健側」です。
三動作歩行は安定性重視、二動作歩行は速さ重視と覚えておきましょう。