〔事例〕
Dさん(70歳、男性)は、19歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し、入退院を繰り返しながら両親と一緒に生活してきた。
両親が亡くなったことをきっかけとして不安に襲われ、妄想や幻聴の症状が強く現れるようになった。
そのため、兄に付き添われて精神科病院を受診し、医療保護入院となった。
現在は、入院から3年が経過し、陽性症状はほとんどなく、病棟で日中はレクリエーションに参加するなど落ち着いて生活している。
1年前からDさんの退院について検討が行われてきた。
Dさんは退院後の生活に対する不安があり、「帰る家がない」、「顔見知りの患者や職員がいるのでここを離れたくない」と退院には消極的であった。
しかし、Dさんと仲のよい患者が、退院し施設入所したことをきっかけに退院を考えるようになった。
Dさんは、整容、入浴、排泄、食事、移動は見守りがあればできる。
また、介護福祉職の助言を受ければ、日用品などを買うことはできる。
経済状況は、障害基礎年金2級と生活保護を受給している。
要介護認定を受けたところ、要介護1と認定された。
Dさんの退院先の候補になる施設として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答1
解説
正解は1です。
精神科病院から退院する高齢者の生活の場を選ぶ問題です。
Dさんは70歳で要介護1、「帰る家がない」状態で、障害基礎年金と生活保護を受給しています。
日常生活は「見守りがあればできる」状態で、仲のよい患者が「退院し施設入所した」ことをきっかけに退院を考えるようになりました。
住まいと経済的な理由で自宅での生活が難しい高齢者が入所できる施設が求められています。
【選択肢別解説】
1:○ 養護老人ホームが適切です。
環境上の理由と経済的な理由で自宅での生活が難しい65歳以上の人が、市町村の措置で入所する施設で、帰る家がなく生活保護を受けるDさんに当てはまります。
2:× 老人福祉センターは、高齢者が相談や教養、レクリエーションのために通う利用施設です。
入所して暮らす施設ではありません。
3:× 更生施設は、生活保護法に基づく保護施設で、生活指導などを通じて社会での自立をめざす人を対象としています。
高齢で要介護のDさんの生活の場としては、高齢者のための施設がより適しています。
4:× 地域生活定着支援センターは、刑務所などの矯正施設を出所する高齢者や障害者を、福祉サービスにつなぐ機関です。
入所施設ではなく、Dさんの状況とも合いません。
5:× 介護老人福祉施設は、原則として要介護3以上の人が入所する施設です。
要介護1のDさんは、原則として入所できません。
【ポイント】
養護老人ホームは介護保険施設ではなく、老人福祉法に基づく措置施設です。
2015年から、介護老人福祉施設の新規入所は原則として要介護3以上に限られています。