〔事例〕
Aさん(80歳、女性)は、自宅で一人暮らしをしている。
同じ県内に住む娘が、月に一度Aさんの自宅を訪れている。
最近、Aさんの物忘れが多くなってきたため、不安になった娘が、Aさんと一緒に病院を受診したところ、医師から、脳の記憶をつかさどる部分が顕著に萎縮したアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)であると診断された。
Aさんはこのまま自宅で暮らすことを希望し、介護保険の訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら一人暮らしを継続することになった。
ある日、娘からサービス提供責任者に、今年はAさんが一人で雪かきができるか不安であると相談があった。
そこで、サービス提供責任者が、Aさんと一緒に地区の民生委員に相談したところ、近所の人たちが雪かきをしてくれることになった。
ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんの自宅を訪れ、一包化された薬の服薬状況を確認したところ、残薬があった。
Aさんに服薬状況を確認すると、薬を飲んだかどうか、わからなくなることがあるという返答があった。
訪問介護員(ホームヘルパー)は、Aさんとの会話から、日時に関する見当識に問題はないことを確認した。
Aさんの薬の飲み忘れを防止するための対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答3
解説
正解は3です。
Aさんは「薬を飲んだかどうか、わからなくなることがある」と話しています。
一方で、訪問介護員は「日時に関する見当識に問題はない」ことを確認しています。
今日の日付がわかるAさんであれば、日付ごとに薬を入れておく道具を使うことで、自分で服薬を管理しやすくなります。
【選択肢別解説】
1:× 一包化は、1回分の薬を一つの袋にまとめる方法で、飲み間違いや飲み忘れを防ぐのに役立っています。
中止すると管理がかえって難しくなります。
2:× 近所の人や家族などのインフォーマルな社会資源も、声かけなどで服薬を支える力になります。
活用を避ける理由はありません。
3:○ お薬カレンダーは、日付と時間ごとのポケットに薬を入れておく道具です。
日時の見当識が保たれているAさんは、ポケットの残りを見れば飲んだかどうかを確認できます。
4:× 一人で薬を服用しないように伝えると、一人暮らしのAさんは服薬ができなくなります。
自立した生活を妨げます。
5:× 飲み忘れたときに2回分を飲むと、薬の作用が強く出すぎて危険です。
飲み忘れたときの対応は、医師や薬剤師の指示に従います。
【ポイント】
飲み忘れ防止には、一包化、お薬カレンダー、服薬ボックス、声かけなどの方法があります。
本人に残っている力(ここでは日時の見当識)を生かす方法を選びます。