〔事例〕
Cさん(59歳、男性)は、妻(55歳)と二人暮らしであり、専業農家である。
Cさんはおとなしい性格であったが、最近怒りやすくなったと妻は感じていた。
Cさんは毎日同じ時間に同じコースを散歩している。
ある日、散歩コースの途中にあり、昔からよく行く八百屋から、「Cさんが代金を支払わずに商品を持っていった。今回で2回目になる。お金を支払いにきてもらえないか」と妻に連絡があった。
妻がCさんに確認したところ、悪いことをした認識がなかった。
心配になった妻がCさんと病院に行くと、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)と診断を受けた。
妻は今後同じようなことが起きないように、Cさんの行動を常に見守り、外出を制限したが、疲労がたまり、今後の生活に不安を感じた。
そこで、地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請を行い、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。
その後、妻に外出を制限されたCさんは不穏となった。
困った妻が訪問介護員(ホームヘルパー)に相談したところ、「八百屋に事情を話して事前にお金を渡して、Cさんが品物を持ち去ったときは、渡したお金から商品代金を支払うようにお願いしてはどうか」とアドバイスを受けた。
訪問介護員(ホームヘルパー)が意図したCさんへの関わりをICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)に当てはめた記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答4
解説
正解は4です。
訪問介護員の助言を、ICF(国際生活機能分類)の構成要素に当てはめる事例問題です。
ICFでは、生活機能を心身機能・身体構造、活動、参加に分け、それらに影響する背景因子として環境因子と個人因子を置きます。
【選択肢別解説】
1:× 訪問介護員の助言は、病気そのもの(健康状態)に働きかけるものではありません。
また、性格や年齢などの個人因子を変えることを意図したものでもありません。
2:× 助言は、心身機能を改善して病気を治すことを意図したものではありません。
前頭側頭型認知症という健康状態は、この助言で変わるものではありません。
3:× 助言は、身体の構造に働きかけるものではありません。
体の部位や器官に関わる支援は含まれていません。
4:○ 八百屋に事情を話して事前にお金を渡しておくのは、地域の人という環境因子に働きかける対応です。
それによって、外出を制限されたCさんが、また散歩や地域での買い物を続けられるという参加への影響を意図しています。
5:× 助言は、Cさんの個人因子を変えようとするものではありません。
周囲の環境の側を調整する対応です。
【ポイント】
環境因子には、福祉用具や住環境などの物的環境だけでなく、家族や地域の人々などの人的環境、制度などの社会的環境も含まれます。
環境を調整することで、活動や参加を広げられるのがICFの考え方です。