〔事例〕
Aさん(50歳、男性、障害支援区分4)は、1年前の交通事故の後遺症で、右片麻痺、高次脳機能障害(higher brain dysfunction)、失語症(aphasia)となった。
現在は障害者支援施設で生活している。
日中は、車いすに座って過ごしているが、すぐに右肩が下がり上半身は右へ傾いた姿勢になる。
ある日、B介護福祉職がAさんに姿勢の傾きを直す方法を伝えようとすると、Aさんは大声でどなり、物を投げた。
B介護福祉職は、以前からAさんとのコミュニケーションに悩んでいたため、C介護主任に相談することにした。
C介護主任の問いかけに答えるなかで、B介護福祉職は自分自身の言動を振り返ることができ、Aさんに伝わらない焦りと、子どもに言い聞かせるような口調が、Aさんの感情を害していたことに気づいた。
その後、コミュニケーション方法を工夫し、Aさんに姿勢の傾きを直す方法を説明し、同意を得ることができた。
毎週、Aさんは妻との面会を楽しみにしている。
しかし、妻はAさんの将来に不安を感じて、B介護福祉職に、「夫の障害について、情報交換や勉強がしたい。そのようなところがあれば紹介してほしい」と相談した。
次のうち、C介護主任がB介護福祉職への対応に用いた手法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答2
解説
正解は2です。
職員の育成やチームづくりに用いられる手法の名称を問う問題です。
事例では、C介護主任の「問いかけに答えるなかで」、B介護福祉職は自分自身の言動を振り返り、自分で問題点に気づいています。
【選択肢別解説】
1:× コンサルテーションは、ある分野の専門家が、異なる分野の専門職から相談を受けて助言する方法です。
同じ職場の上司が問いかけによって気づきを促す事例の手法とは異なります。
2:○ コーチングは、問いかけや傾聴を通して、相手が自分で考え、気づき、行動できるように促す手法です。
C介護主任の問いかけによってB介護福祉職が自ら気づいたことは、コーチングに当たります。
3:× フォロワーシップは、チームのメンバーがリーダーを支え、主体的に組織に貢献する姿勢です。
上司が部下に用いる手法ではありません。
4:× ティーチングは、知識や技術、答えを直接教える手法です。
事例では、答えを教えるのではなく、問いかけによって気づきを引き出しています。
5:× メンバーシップは、チームの一員として役割を自覚し、責任を果たす姿勢です。
上司が部下に用いる手法ではありません。
【ポイント】
「答えを教える」のがティーチング、「問いかけて気づきを引き出す」のがコーチングです。
相手の経験や状況に応じて、両方を使い分けることが大切です。