A、B及びCは、マンション(マンション管理適正化法第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。) の一住戸を共有しており、その持分は、Aが3分の2、BとCがそれぞれ6分の1である。
この場合に関する次の記述のうち、民法、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
正答1
解説
正解は1。
共有物の「保存」「管理」「変更(処分)」のどれに当たるかで、単独でできるか・持分の過半数か・全員同意かが分かれることを問う問題です。
【選択肢別解説】
1:× 住戸全体に抵当権を設定することは共有物の処分(変更)に当たり、共有者全員の同意が必要です。
持分3分の2のAでも、BとCの同意なしに「当該住戸について」単独で抵当権を設定することはできません(民法251条)。
なお、A自身の持分だけを目的として抵当権を設定することは単独で可能です。
2:○ 判例は、少数持分権者であっても共有物全体を持分に応じて使用する権利があるため、多数持分権者が当然に明渡しを請求できるわけではないとしています(最判昭41.5.19)。
よって「請求できるとは限らない」は正しい記述です。
3:○ 共有者の一人が持分を放棄すると、その持分は他の共有者に持分の割合に応じて帰属します(民法255条)。
区分所有法上、共用部分の持分や敷地利用権は専有部分の処分に従うため(区分所有法15条・22条)、共用部分・敷地のBの持分もあわせてAとCに帰属します。
4:○ 不法占拠者に対する明渡請求は保存行為に当たり、各共有者が単独ですることができます(民法252条ただし書)。
持分が6分の1にすぎないCでも単独で請求できます。
【ポイント】
抵当権設定・売却は「変更(処分)」で全員同意、賃貸等の管理は持分の過半数、不法占拠者の排除は保存行為で単独、と整理しましょう。
※現行法(2023年4月施行の改正民法)では共有物の変更・管理のルールが一部見直されていますが、抵当権設定に全員の同意が必要な点は変わりません。