区分所有法第8条に規定される特定承継人の責任に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものの組み合わせはどれか。
ア債務者たる区分所有者の特定承継人とは、特定の原因により区分所有権を承継して実質的に区分所有関係に入る者をいい、単に当該区分所有権を転売する目的で取得した者は、特定承継人には該当しない。
イ区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
ウ区分所有者は、規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
エマンションの外壁の剥落事故により負傷した第三者は、事故後に当該マンションの区分所有者となった特定承継人に対して、その損害の賠償を請求することができる。
正答3
解説
正解は3(ア・エ)。
区分所有法8条の特定承継人の責任について、特定承継人の範囲と、承継人に行使できる債権の範囲を問う問題です。
【選択肢別解説】
ア:× 特定承継人とは、売買・贈与・競売などの特定の原因により区分所有権を承継した者をいいます。
転売目的で取得した中間取得者であっても、いったん区分所有権を取得した以上、特定承継人に該当します。
「転売する目的で取得した者は特定承継人に該当しない」とする点が誤りです(区分所有法8条、裁判例)。
イ:○ 区分所有者が共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができます(区分所有法8条・7条1項)。
ウ:○ 規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権(管理費・修繕積立金など)も、特定承継人に対して行うことができます(区分所有法8条・7条1項)。
エ:× 8条が特定承継人に行使できるとしているのは、区分所有者(管理者・管理組合法人を含む)が他の区分所有者に対して有する7条1項の債権に限られます。
外壁の剥落事故による第三者の不法行為に基づく損害賠償請求権はこれに当たらないので、事故後に区分所有者となった特定承継人に請求することはできません。
事故当時の区分所有者(工作物の占有者・所有者)が責任を負います(民法717条)。
よって誤っているものはア・エです。
【ポイント】
8条で承継人に請求できるのは「区分所有者間の債権(共用部分等に関する債権・規約や集会の決議に基づく債権)」だけです。
第三者の損害賠償請求権は対象外です。