区分所有者Aが、自己の所有するマンションの専有部分をBに賃貸する契約において、AB間で合意した次の特約のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、無効であるものを全て含む組合せはどれか。
ア Bが、賃料を滞納した場合には、Aは、直ちに専有部分に入る玄関扉の鍵を取り替える特約
イ Bは、賃貸借の契約期間中、中途解約できる特約
ウ Bが死亡したときは、同居する相続人がいる場合であっても、賃貸借契約は終了する特約
エ BがAの同意を得て建物に付加した造作であっても、賃貸借契約の終了に際して、造作買取請求はできない特約
正答3
解説
正解は3(ア・ウ)。
専有部分の賃貸借における特約の有効・無効を、公序良俗(自力救済の禁止)と借地借家法の強行規定の観点から問う問題です。
【選択肢別解説】
ア:無効 賃料滞納を理由に、法的手続によらず賃貸人が一方的に玄関扉の鍵を取り替えて賃借人の使用を妨げることは、自力救済に当たります。
自力救済は原則として禁止されており、このような特約は公序良俗に反し無効と解されています(民法90条)。
イ:有効 期間の定めのある建物賃貸借で賃借人からの中途解約を認める特約は、賃借人に不利なものではないので有効です。
借地借家法の強行規定は賃借人に不利な特約を無効とするものです。
ウ:無効 賃借人が死亡しても、賃借権は相続人に相続されます。
賃借人の死亡により同居の相続人がいても賃貸借契約が終了するという特約は、借地借家法の建物賃貸借の終了に関する規定より賃借人に不利な特約として無効と解されています(借地借家法30条)。
エ:有効 造作買取請求権(借地借家法33条)を排除する特約は、同法37条の強行規定の対象に含まれていないため有効です。
よって無効なものはア・ウです。
【ポイント】
造作買取請求権の排除特約は「有効」、自力救済・賃借人に不利な終了事由の特約は「無効」です。
借地借家法では、造作買取請求権が任意規定である点が最頻出のひっかけです。