マンションにおける不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、適切なものはいくつあるか。
アマンション管理業者は、自らが雇用する管理員が、その業務の執行について第三者に損害を加えたときは、当該管理員個人に不法行為が成立しなくても、使用者責任を負う場合がある。
イマンション管理業者は、自らが雇用する管理員が、その業務の執行について第三者に損害を加えた場合、使用者責任に基づいて当該第三者に対してその賠償をしたときでも、当該管理員に対して求償権を行使することは認められない。
ウマンションの専有部分にある浴室から水漏れが発生し、階下の区分所有者に損害が生じた場合、当該専有部分に居住する区分所有者は、その損害を賠償する責任を負うが、水漏れの原因が施工会社の責任によるときは、当該施工会社に対して求償権を行使することができる。
エマンションの共用部分の修繕工事を請け負った施工会社が、その工事について第三者に損害を加えた場合に、注文者である当該マンションの管理組合は、注文又は指図について過失がない限り、損害を賠償する責任を負わない。
正答2
解説
正解は2(適切なものは二つ)。
使用者責任・土地工作物責任・注文者の責任という、マンションで起こりやすい不法行為の類型を問う個数問題です。
【選択肢別解説】
ア:× 使用者責任は、被用者(管理員)自身に不法行為(民法709条)が成立することが前提です。
「管理員個人に不法行為が成立しなくても使用者責任を負う」とする点が誤りです(民法715条1項)。
イ:× 使用者が被害者に賠償したときは、被用者に対して求償権を行使することができます(民法715条3項)。
判例上、信義則により求償の範囲が制限されることはありますが、「求償権の行使は認められない」とする点が誤りです。
ウ:○ 専有部分の浴室は土地の工作物にあたり、その設置・保存の瑕疵による水漏れについては、そこに居住する区分所有者が占有者兼所有者として責任を負います(民法717条1項)。
損害の原因について他に責任を負う者(施工会社)がいるときは、その者に求償できます(民法717条3項)。
エ:○ 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負いません。
ただし、注文又は指図について注文者に過失があったときは責任を負います(民法716条)。
よって適切なものはウ・エの二つです。
【ポイント】
使用者責任は「被用者の不法行為の成立」が前提で、賠償後は被用者に求償できます。
工作物責任は占有者が一次的責任(免責あり)、所有者は無過失責任で、原因者への求償が可能という構造を押さえましょう。