K クリニックに勤務する管理栄養士である。
外来栄養食事指導を行っている。
患者は、81歳、男性。
独居。
10年前に 2型糖尿病を発症している。
前院で経口血糖降下薬を処方されていたが、服用を忘れることが多く、食事は自由に摂取していた。
血糖コントロールは不良で、最近は低血糖症状もみられることから、当クリニックへ紹介された。
インスリン療法を開始することになり、毎食前のインスリン注射の指導を医師から受けた。
明らかな糖尿病合併症はない。
身長 165 cm、体重 53.1 kg、BMI 19.5 kg/m 2。
血液検査値は、血糖(食後 2時間)132 mg/dL、HbA1c 8.3%。
インスリン療法開始前の栄養食事指導を行うに当たり、事前に撮ってもらった写真と聞き取りから 2日間の食生活を確認した(図)。
優先すべき指導内容として、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答3
解説
正解は3です。
これから毎食前にインスリンを注射するので、毎食に一定量の炭水化物(主食)をとることが低血糖を防ぐ前提になります。
図の食生活の記録から、主食がとれていない食事を確認します。
【図の読み取り】
1日目(普段の日)の朝食はトースト1枚、昼食はせんべい2枚だけで、昼食に主食がありません。
夕食はご飯1杯・焼き魚・豚汁・煮物とビール1缶で、間食にサイダーやコーラを飲んでいます。
2日目(友人宅を訪問)の朝食はコーヒーだけ、夕食はサイダーだけで、主食がありません。
2日目は間食にアイスクリーム、饅頭、せんべい5枚、ミニあんぱんをとっています。
【選択肢別解説】
1:× 炭酸飲料や菓子は高血糖の原因になり、いずれ見直しが必要です。
しかしインスリン開始にあたっては、食事に主食がないことによる低血糖の危険への対応が優先です。
2:× ビールの飲み過ぎも見直しが必要ですが、量は1日1〜2缶程度です。
インスリン療法を安全に始めるうえでの最優先事項ではありません。
3:○ 1日目は昼食がせんべいだけで、2日目は朝食がコーヒーだけ、夕食がサイダーだけです。
主食をとらずに食前のインスリンを打つと重い低血糖を起こすため、3食とも主食をとるよう指導することが最優先です。
4:× 運動は血糖を下げますが、食事が不規則な状態で始めると低血糖の危険がさらに高まります。
また、買い物で毎日30分程度歩いており、まず整えるべきは食事です。
【ポイント】
毎食前のインスリン療法では、食事を抜くと低血糖を起こすので、毎食決まった量の主食をとることが基本です。
高齢者は低血糖の症状が出にくいため、食事の規則性を特に重視します。