イレウスにより空腸の一部、回腸全体および回盲弁を切除し、空腸と結腸を吻合した。
残存小腸は約100 cm であった。
この患者の病態の経過および栄養管理に関する記述である。
最も適当なのはどれか。
1つ選べ。
正答5
解説
正解は5です。
回腸全体と回盲弁を切除し、残存小腸が約100cmとなった短腸症候群の患者です。
短腸症候群の経過は、第Ⅰ期(術直後期)、第Ⅱ期(回復適応期)、第Ⅲ期(安定期)に分けられます。
【選択肢別解説】
1:× 第Ⅰ期では、術直後に腸管麻痺が起こり、その後に腸蠕動が亢進して大量の下痢がみられます。
腸蠕動の亢進が先で腸管麻痺が後に起こるという順序は誤りです。
2:× 第Ⅰ期は大量の下痢により水分や電解質が失われるため、中心静脈栄養で管理します。
この時期に経腸栄養を中心とすることはありません。
3:× 第Ⅱ期では、残った腸管の適応(腸粘膜の肥大など)が進み、吸収能が回復していきます。
下痢の回数は増加するのではなく、徐々に減少します。
4:× 第Ⅱ期では、経腸栄養や経口摂取を少しずつ開始・増量して、腸管の適応を促します。
経口摂取は禁忌ではありません。
5:○ ビタミンB12は、胃の内因子と結合して回腸末端から吸収されます。
回腸全体を切除したこの患者では経口で吸収できないため、第Ⅲ期以降は注射で補給します。
【ポイント】
回腸切除では、ビタミンB12の吸収障害に加え、胆汁酸の再吸収障害による脂肪の吸収不良(脂肪便)も起こります。
脂溶性ビタミンの欠乏や、シュウ酸カルシウム結石にも注意が必要です。