K 診療所に勤務している管理栄養士である。
患者は、80歳、男性。
妻(75歳)と同居。
中等度認知症。
糖尿病でインスリン治療を行っており、妻が管理している。
月に1回、外来受診し、医師からエネルギー 1,600 kcal/日を指示されている。
車椅子での移動で、食事は自立している。
妻が用意する3食の食事はきちんと食べている。
甘い菓子が好きで、間食を楽しみにしている。
受診時、身長 158 cm、体重 62 kg、BMI 24.8 kg/m2。
血圧 120/70 mmHg。
空腹時の血液検査値は、アルブミン 3.9 g/dL、血糖 280 mg/dL、HbA1c 10.0%、 トリグリセリド 200 mg/dL、AST 18 U/L、ALT 22 U/L、尿素窒素 10.2 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL。
この患者の血糖コントロール目標(HbA1c 値)として、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答4
解説
正解は4です。
日本糖尿病学会と日本老年医学会による高齢者糖尿病の血糖コントロール目標では、認知機能やADL、低血糖の危険がある薬の使用の有無で目標値を変えます。
この患者は80歳で中等度の認知症があり、低血糖の危険が大きいインスリンを使用しています。
【選択肢別解説】
1:× 6.5%未満は、高齢者の目標としては厳しすぎます。
インスリンを使う認知症の高齢者でこの値を目指すと、重症低血糖の危険が高まります。
2:× 6.5%以上7.5%未満は、認知機能が正常でADLが自立した65歳以上75歳未満の高齢者で、低血糖の危険がある薬を使う場合の目標です。
中等度の認知症があるこの患者には当てはまりません。
3:× 7.0%以上8.0%未満は、認知機能が正常な75歳以上、または軽度認知障害〜軽度認知症の高齢者で、低血糖の危険がある薬を使う場合の目標です。
中等度の認知症があるこの患者には当てはまりません。
4:○ 中等度以上の認知症がある高齢者は、カテゴリーⅢに分類されます。
低血糖の危険がある薬を使う場合の目標は8.5%未満で、下限は7.5%です。
したがって、7.5%以上8.5%未満が適切です。
【ポイント】
高齢者では、低血糖が認知機能の悪化や転倒、心血管疾患の原因になります。
そのため、インスリンやSU薬などを使う場合は、目標値に下限を設けて低血糖を防ぎます。