K 病院に勤務する管理栄養士である。
患者は、78歳、女性。
4年前に慢性心不全と診断され、外来通院を行いながら、 心臓リハビリテーションを受けている。
慢性心不全の急性増悪による入院歴がある。
通常の日常生活では症状を認めないが、買い物で重いものを運んだり、家の掃除で無理をしたりすると、疲労や動悸を自覚している。
摂食嚥下機能に問題はない。
ACE 阻害薬、β遮断薬、利尿薬が投与されている。
身長 150 cm、体重 48 kg、BMI 21.3 kg/m2。
血圧 118/72 mmHg、脈拍数 82回/分。
浮腫あり。
空腹時の血液検査値は、アルブミン 3.4 g/dL、血糖 82 mg/dL、尿素窒素 12 mg/dL、 クレアチニン 0.48 mg/dL、 ナトリウム 142 mEq/L、 カリウム 4.6 mEq/L、BNP (脳性ナトリウム利尿ペプチド) 218 pg/mL (基準値:35 pg/mL 未満) 。
この患者の1日当たりの目標栄養量の組合せとして、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答4
解説
正解は4です。
この患者は78歳の慢性心不全で、日常生活では症状がなく、強い労作で症状が出る状態です。
浮腫があるため減塩が必要ですが、高齢者では厳しすぎる減塩が食欲低下と低栄養を招きます。
腎機能は正常(クレアチニン0.48 mg/dL)で、たんぱく質を制限する必要はありません。
【計算】
たんぱく質の目標量の下限(65歳以上15%E)= 1,400 kcal × 0.15 ÷ 4 kcal/g ≒ 52.5 g
たんぱく質の上限(20%E)= 1,400 kcal × 0.20 ÷ 4 kcal/g = 70 g
60 gは52.5〜70 gの範囲内です。
【選択肢別解説】
1:× たんぱく質50 gは目標量の下限(約52.5 g)を下回ります。
食塩3 g/日も高齢者には厳しすぎる制限です。
2:× たんぱく質60 gは適切ですが、食塩3 g/日は制限が強すぎます。
食欲が落ちて低栄養を招くおそれがあります。
3:× 食塩5 g/日は適切ですが、たんぱく質50 gではフレイルやサルコペニアの予防に不足します。
4:○ たんぱく質60 gは目標量の範囲内で、筋肉量の維持に役立ちます。
食塩5 g/日は、心不全で推奨される6 g/日未満を満たします。
【ポイント】
心不全の減塩は6 g/日未満が目安で、高齢者では過度な制限による低栄養に注意します。
腎機能が保たれていれば、たんぱく質は十分にとります。