24歳の女性。
2日前に室内での火災に巻き込まれ救急搬送された。
35%の範囲の熱傷と診断され入院中。
意識は清明。
顔面から前頸部も受傷し煤のような色の痰がでる。
肩甲帯から上腕にかけては植皮が必要な状態。
骨盤と下肢とに傷害はみられない。
この時期の理学療法として適切なのはどれか。
正答5
解説
正解は5です。
受傷2日目の広範囲熱傷で、顔面・前頸部の熱傷と煤の混じった痰から気道熱傷が疑われる症例です。
この時期は全身状態が不安定で、呼吸器合併症の予防が最優先になります。
【選択肢別解説】
1:× 受傷直後の創部はまだ開放創で、植皮も必要な状態です。
弾性包帯による持続圧迫は、創が閉鎖した後の肥厚性瘢痕の予防に用います。
2:× 受傷早期は代謝が著しく亢進し、循環動態も不安定です。
最大随意収縮(MVC)の80%という高負荷の筋力増強は、この時期には適しません。
3:× 前頸部熱傷では、拘縮予防のため頸部を軽度伸展位に保つポジショニングを行います。
ただし受傷2日目の気道熱傷がある時期に、頸部伸展位を持続的に保ち続ける対応は適切とされません。
体位変換や排痰を妨げない範囲で行います。
4:× 下肢に損傷はなく、意識も清明で自分で足を動かせます。
尖足予防の夜間装具を急いで装着する必要はありません。
5:○ 煤の混じった痰は気道熱傷を示し、気道の浮腫や分泌物で無気肺や肺炎を起こしやすくなります。
呼気に合わせて胸郭を圧迫するsqueezing(スクイージング)で、排痰を促すことが適切です。
【ポイント】
熱傷の急性期は呼吸管理と良肢位保持、回復期以降は拘縮予防と瘢痕対策が中心になります。
顔面熱傷・鼻毛の焦げ・煤の混じった痰は、気道熱傷を疑う所見です。