32 歳の男性。
右上肢の筋力低下を訴えて受診し、理学療法が開始された。
筋力を評価するために、右上肢を前方挙上して壁を押させた時の様子を図に示す。
その結果、右肩甲骨の内側縁全体が胸郭から離れる現象が認められた。
筋力低下が最も疑われる筋はどれか。
正答4
解説
正解は4です。
図では右上肢を前方へ挙上して壁を押しており、右肩甲骨の内側縁が胸郭から浮き上がっています。
これは翼状肩甲と呼ばれる所見で、壁押しは前鋸筋の筋力低下を確認する代表的な方法です。
【選択肢別解説】
1:× 棘下筋は肩関節外旋の筋です。
筋力が低下すると外旋力が弱まりますが、壁押しで肩甲骨内側縁全体が浮き上がる原因にはなりません。
2:× 肩甲下筋は肩関節内旋の筋です。
回旋筋腱板の一つですが、肩甲骨を胸郭に押し付ける作用はありません。
3:× 広背筋は肩関節の伸展・内転・内旋に働く筋です。
前方へ押す動作で肩甲骨を胸郭に固定する主役ではありません。
4:○ 前鋸筋は肩甲骨を外転させ、胸郭に押し付けて固定する筋です。
長胸神経麻痺などで筋力が低下すると、前方に押したときに肩甲骨内側縁全体が浮き上がります。
5:× 大円筋は肩関節の伸展・内転・内旋に働く筋です。
翼状肩甲の主な原因ではありません。
【ポイント】
前鋸筋は長胸神経の支配で、麻痺すると上肢の前方挙上や壁押しで翼状肩甲が目立ちます。
僧帽筋麻痺(副神経障害)でも肩甲骨の位置異常が起こりますが、壁押しで内側縁全体が浮く典型像は前鋸筋の低下です。