80 歳の女性。
右変形性股関節症に対し人工関節全置換術を施行。
1 週間が経過し、歩行器での移動が可能となった。
本症例にDaniels らの徒手筋力テストに基づき、左中殿筋の段階 4の評価を行う。
適切な測定はどれか。
正答3
解説
正解は3です。
Daniels らの徒手筋力テスト(MMT)で中殿筋の段階4を測る手順と、術後1週の右人工股関節全置換術(THA)への配慮を合わせて問う問題です。
段階4以上は抗重力位での抵抗検査なので、代償運動を防ぐ固定が判定の前提になります。
【選択肢別解説】
1:× 通常は検査側を上にした側臥位で測りますが、左を測るには術側の右を下にして寝る必要があります。
術後1週の右股関節に体重と圧迫がかかるため、この時期の測定肢位としては適切とされません。
2:× 側臥位で下側の股関節を屈曲させるのは通常の手順ですが、本症例では下側が術側の右になります。
術後早期に術側の股関節を深く屈曲させることは、脱臼肢位や疼痛につながるため避けます。
3:○ 中殿筋の検査では、骨盤が後方へ回旋すると股関節屈筋群で外転を代償しやすくなります。
検査者が腸骨稜を押さえて骨盤の回旋を防ぐことで、中殿筋の筋力を正しく評価できます。
4:× 下肢を外旋位にすると、腸腰筋や縫工筋などの股関節屈筋群で外転を代償しやすくなります。
正しくは股関節を軽度伸展・回旋中間位に保って外転させます。
5:× 最大の抵抗に抗して最終域を保持できるのは段階5の基準です。
段階4は強い抵抗に抗して保持できるものの、最大抵抗では最終域がやや崩れる状態をいいます。
【ポイント】
中殿筋のMMTでは「骨盤の固定」「軽度伸展・回旋中間位」「屈曲・外旋による代償に注意」の3点が要点です。
THA術後は脱臼肢位(後方進入なら屈曲・内転・内旋)を避けて評価肢位を選びます。