膿性痰のGram染色〈Huckerの変法〉標本(別冊No. 11)を別に示す。
分離菌はチョコレート寒天培地に発育したが、5%ヒツジ血液寒天培地およびBTB乳糖寒天培地には発育しなかった。
推定される菌種はどれか。
正答2
解説
正解は2です。
喀痰のGram染色像と、培地ごとの発育の違いから菌種を推定する問題です。
チョコレート寒天培地だけに発育する菌は、発育に特別な因子を必要とする菌です。
標本では、赤く染まった粘液や細胞成分の間に、赤色(グラム陰性)に染まるごく小さな短桿菌が多数散在しています。
大きな桿菌や紫色に染まる球菌は目立たず、グラム陰性の小桿菌が主体と読み取れます。
この形態と、チョコレート寒天培地にだけ発育する性状が合わせて推定の根拠になります。
【選択肢別解説】
1:× Acinetobacter baumanniiはグラム陰性の球桿菌ですが、ヒツジ血液寒天培地やBTB乳糖寒天培地にもよく発育します。
2:○ Haemophilus influenzaeはグラム陰性の小桿菌で、発育にX因子(ヘミン)とV因子(NAD)を必要とします。
ヒツジ血液寒天培地ではV因子が利用できず、BTB乳糖寒天培地には両因子がないため発育しません。
血球を加熱して両因子を利用しやすくしたチョコレート寒天培地にのみ発育します。
3:× Klebsiella pneumoniaeはグラム陰性の太い桿菌で、ヒツジ血液寒天培地にもBTB乳糖寒天培地にも発育します。
BTB乳糖寒天培地では乳糖を分解して黄色の粘稠な集落をつくります。
4:× Pasteurella multocidaはグラム陰性の小桿菌ですが、ヒツジ血液寒天培地に発育します。
動物の咬傷から感染することが多い菌です。
5:× Pseudomonas aeruginosaはグラム陰性桿菌で、ヒツジ血液寒天培地にもBTB乳糖寒天培地にも発育します。
【ポイント】
インフルエンザ菌はX因子とV因子の両方を要求します。
黄色ブドウ球菌の周りにだけ発育する衛星現象も、V因子要求性を示す所見として頻出です。