下気道感染症患者の喀痰のGram染色標本(別冊No. 11)を別に示す。
分離菌は5%ヒツジ血液寒天培地およびチョコレート寒天培地に発育した。
推定されるのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
別冊No.11は、喀痰のGram染色標本です。
多数の白血球(好中球)を背景に、赤く染まった小型の球菌が散在しています。
球菌は2個ずつ向かい合うように並び(双球菌)、好中球の周りや内部にもみられます。
このことから、グラム陰性双球菌による下気道感染と考えられます。
さらに、5%ヒツジ血液寒天培地とチョコレート寒天培地の両方に発育したことも手がかりになります。
【選択肢別解説】
1:× Fusobacterium nucleatumは、両端のとがった細長いグラム陰性桿菌です。
偏性嫌気性菌なので、通常の培養条件の血液寒天培地には発育しません。
2:× Haemophilus influenzaeは、小型のグラム陰性短桿菌です。
X因子とV因子を必要とし、ヒツジ血液寒天培地にはほとんど発育せず、チョコレート寒天培地に発育します。
3:× Klebsiella pneumoniaeは、厚い莢膜をもつ太いグラム陰性桿菌です。
本図の小型の双球菌とは形が異なります。
4:○ Moraxella catarrhalisが推定されます。
腎臓形の菌が向かい合うグラム陰性双球菌で、下気道感染の原因になります。
特別な発育因子を必要としないため、ヒツジ血液寒天培地にもチョコレート寒天培地にも発育します。
β-ラクタマーゼを産生する株が多い点も重要です。
5:× Pseudomonas aeruginosaは、細長いグラム陰性桿菌です。
本図の双球菌とは形が異なります。
【ポイント】
喀痰のグラム陰性双球菌はMoraxella catarrhalis、グラム陰性短桿菌はHaemophilus influenzaeが代表です。
Moraxellaは寒天上のコロニーを白金耳で押すと、そのまま滑るように動く(ホッケーパック様)のが特徴です。