正答4
解説
正解は4です。
TSI培地では、斜面部と高層部の色、ガスの産生、硫化水素〈H₂S〉の産生(黒変)を観察します。
乳糖・白糖を分解すると斜面も黄色(酸性)に、ブドウ糖のみを分解すると斜面は赤色(アルカリ性)で高層だけが黄色になります。
図の所見を確認します。
斜面部は赤色(アルカリ性)で、高層部は黄色(酸性)です。
したがって、ブドウ糖のみを分解し、乳糖と白糖は分解しない菌です。
高層部には亀裂や気泡がなく、ガスは産生していません。
斜面と高層の境界付近に、わずかな黒色の沈着がみられ、H₂Sは少量の産生です。
「斜面アルカリ・高層酸・ガス陰性・H₂S弱陽性」は、チフス菌の典型的なパターンです。
【選択肢別解説】
1:× Citrobacter freundiiは、ガスとH₂Sを多量に産生し、高層部が広く黒変します。
乳糖を分解して斜面が黄色になる株も多く、本例とは異なります。
2:× Enterobacter cloacaeは乳糖や白糖を分解するため、斜面部も黄色になります。
ガスを産生し、H₂Sは産生しません。
3:× Proteus vulgarisは白糖を分解するため、斜面部も黄色になります。
H₂Sを多量に産生して高層部が黒変します。
4:○ チフス菌(Salmonella Typhi)は、ブドウ糖を分解してもガスを産生しません。
H₂Sはわずかに産生し、境界付近にだけ黒変がみられることが多いです。
本例の所見と一致します。
5:× Shigella sonneiも斜面アルカリ・高層酸でガス陰性ですが、H₂Sは産生しません。
本例のような黒変はみられません。
【ポイント】
チフス菌は、多くのサルモネラと異なりガス非産生でH₂S産生がわずかです。
赤痢菌との区別は、H₂S産生の有無が手がかりになります。