80 歳の男性。
体重 70 kg。
介護者は腰痛のある 70 歳の妻で体重 39 kg。
誤嚥性肺炎による1か月の入院後、下肢の廃用性の筋力低下をきたしている。
端座位保持は可能であるが、立ち上がりは手すりを把持しても殿部が挙上できずに全介助である。
立位は手すりを把持して保持できるが、足踏み動作は困難である。
車椅子への移乗介助に使用する福祉用具の写真(別冊No.4①〜⑤)を別に示す。
妻の腰痛を助長しないことを優先して選択する用具として適切なのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
患者は70kgと重く、殿部を挙げて立ち上がることも足踏みもできません。
介護者の妻は39kgで腰痛があるため、患者を持ち上げずに移乗できる用具を選びます。
【選択肢別解説】
1:○ ①スライディングボードは、ベッドと車椅子の間に板を渡し、座ったまま殿部を滑らせて移乗する用具です。
患者を持ち上げる必要がないため、介護者の腰への負担を最も減らせます。
端座位が保てる本例の条件にも合います。
2:× ②突っ張り棒型縦手すりは、本人が握って自力で立ち上がるための用具です。
本例は手すりを握っても殿部を挙げられないため、妻が持ち上げる介助が残ります。
3:× ③移乗用介助ベルトは、介護者がベルトを持って患者を引き上げる用具です。
体重差の大きい本例では妻の腰に大きな負担がかかります。
4:× ④ベッド柵(移動バー)は、立ち上がりや移乗の際に本人が握って体を支える用具です。
立ち上がれない本例では、結局妻が持ち上げることになります。
5:× ⑤介助グローブは、ベッド上で体の下に手を差し込み、体位変換や位置修正をするための用具です。
車椅子への移乗で体を持ち上げる負担を減らすものではありません。
【ポイント】
座位が保てても立ち上がれない人の移乗は、スライディングボードによる座位移乗が第一選択です。
座位も困難な場合は、リフトの使用を検討します。