66歳の女性。
歌が好きでカラオケをよく楽しんでいたが、1年前から言葉数が少なくなり夫が心配して精神科を初めて受診した。
MMSEは正常範囲内であった。
MRIでは前頭葉優位の限局性脳萎縮があり、SPECTでは両側の前頭葉から側頭葉に血流低下が認められた。
現在は定年退職した夫と2人暮らしをしており、家事は夫が行っている。
デイケアに週1回通所しており、好きだった塗り絵や和紙工芸などの作業活動に参加するが、落ち着きがなく途中で立ち去ろうとする行動が頻回にみられる。
作業活動の持続を促す対応として最も適切なのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
記憶は保たれ(MMSE正常)、前頭葉優位の萎縮と前頭・側頭葉の血流低下がある前頭側頭型認知症の事例です。
作業の途中で立ち去る行動は、この疾患に特徴的な「立ち去り行動」です。
一方で目の前の刺激に反応しやすい特性(被影響性の亢進)があり、これを利用すると作業に戻りやすくなります。
【選択肢別解説】
1:○ 注意がそれたときに道具や材料を見せると、目の前の刺激に反応しやすい特性によって作業に意識が戻ります。
持続を促す方法として最も適切です。
2:× 人が多いフロアは刺激が増え、注意がそれやすくなります。
立ち去り行動を減らすにはむしろ刺激の少ない環境が向いています。
3:× 立ち去ってはいけないと言葉で禁止しても、病識が乏しいため行動は変わりにくいです。
かえって興奮を招くおそれもあります。
4:× 初めての手工芸は手順を覚える負担が大きく、混乱を招きます。
好きだった塗り絵など、なじみのある作業のほうが続けやすいです。
5:× セラピストを変えると、なじみの関係が失われます。
一貫した関わりを保つほうが安定につながります。
【ポイント】
前頭側頭型認知症は、立ち去り行動、常同行動、被影響性の亢進、脱抑制が特徴です。
常同行動や刺激への反応しやすさを、なじみの作業に生かすことが対応のコツです。