72 歳の女性。
転倒し、左手をついた。
左手関節部に疼痛と腫脹が生じ、近くの病院を受診し徒手整復後ギプス固定を受けた。
骨癒合後の画像(別冊No.2)を別に示す。
手関節尺屈により尺骨頭部の疼痛とクリック音がする。
手指の機能障害はない。
生じている合併症で考えられるのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
高齢者が手をついて転倒し手関節部に疼痛・腫脹が生じたことから、橈骨遠位端骨折が考えられます。
骨癒合後の正面像では、橈骨遠位部が短縮して変形治癒し、尺骨の遠位端が橈骨より遠位へ突出しています(尺骨プラス変異)。
尺屈で尺骨頭部の疼痛とクリック音が生じることがこの所見と一致します。
【選択肢別解説】
1:× 反射性交感神経性ジストロフィー(現在は複合性局所疼痛症候群:CRPS)は、持続する灼熱痛、腫脹、皮膚の色調変化、手指の拘縮などを示します。
手指の機能障害がない本例とは合いません。
2:○ 橈骨が短縮すると尺骨が相対的に長くなり、尺屈時に尺骨頭が三角線維軟骨複合体や月状骨・三角骨に衝突します。
この尺骨突き上げ症候群により、尺側の疼痛とクリック音が生じます。
3:× 長母指伸筋腱断裂は橈骨遠位端骨折の合併症として知られますが、母指IP関節の伸展ができなくなるのが症状です。
手指の機能障害がない本例とは合いません。
4:× 正中神経損傷では、母指から環指橈側のしびれや母指球筋の筋力低下が生じます。
手指の機能障害がない本例とは合いません。
5:× 月状骨脱臼は手根部の強い腫脹や正中神経症状を伴う外傷で、画像でも月状骨の位置異常がみられます。
本例の画像や症状とは一致しません。
【ポイント】
橈骨遠位端骨折の合併症として、変形治癒による尺骨突き上げ症候群、長母指伸筋腱断裂、正中神経障害、CRPSが頻出です。
症状と障害部位を対応させて覚えましょう。