54 歳の男性。
事務職。
仕事中に胸痛と冷汗が出現し20 分以上持続した。
救急外来を受診し入院となった。
入院時の心電図(別冊No. 2)を別に示す。
考えられる疾患はどれか。
正答2
解説
正解は2です。
20分以上続く胸痛と冷汗は、急性冠症候群を強く疑う典型的な病歴です。
心電図では、胸部誘導のV1〜V4でST部分が上方に凸の形で大きく上昇しています。
V1〜V3ではR波が乏しく、下向きの振れが主体の波形です。
QRS波は幅が狭く、RR間隔はほぼ一定で、頻拍や徐脈もありません。
これらから、前壁中隔の急性心筋梗塞と判断できます。
【選択肢別解説】
1:× 心房細動では、P波が消えて基線が細かく揺れ(f波)、RR間隔が不規則になります。
本例はRR間隔がほぼ一定であり、心房細動の所見はありません。
2:○ 胸部誘導V1〜V4の著明なST上昇は、心筋の全層に及ぶ虚血を示す急性心筋梗塞の所見です。
20分以上持続する胸痛と冷汗という症状とも一致します。
V1〜V4に変化が出る梗塞は、主に左前下行枝の閉塞で起こります。
3:× 心室性期外収縮では、予定より早いタイミングで幅の広いQRS波が出現します。
本例では同じ形のQRS波が規則正しく並び、早期に出る幅広い波形はみられません。
4:× 発作性上室頻拍は、幅の狭いQRS波が規則正しく速い心拍数(おおむね150回/分以上)で続く頻拍です。
本例の心拍数は頻拍の範囲ではなく、主な所見はST上昇です。
5:× 完全房室ブロックでは、P波とQRS波が無関係に出現し、心室からの補充調律による徐脈になります。
本例は徐脈ではなく、ST上昇が主な異常です。
【ポイント】
急性心筋梗塞の心電図は、T波の増高、ST上昇、異常Q波、陰性T波(冠性T波)の順に時間とともに変化します。
ST上昇がみられる誘導から梗塞部位を推定でき、V1〜V4は前壁中隔、Ⅱ・Ⅲ・aVFは下壁を表します。