Aは、隣人Bの留守中に台風が接近して、屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した。
この場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
義務なく他人のために事務を処理する事務管理(民法697条以下)のうち、緊急事務管理の扱いを問う問題です。
台風で屋根に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったので、本問は緊急事務管理に当たります。
この問題は誤っているものを選ぶので、○ が答え(誤った記述)です。
【選択肢別解説】
1:× 正しい記述です。
民法には事務管理者の報酬請求権を認める規定がありません。
そのため、特段の事情がない限り、Aは修理の報酬を請求できません。
2:× 正しい記述です。
事務管理には委任の報告義務の規定が準用されます(民法701条・645条)。
管理者は本人の請求があればいつでも事務処理の状況を報告しなければなりません。
3:○ 誤った記述です。
本人の身体・名誉・財産に対する急迫の危害を免れさせるための事務管理を緊急事務管理といいます(民法698条)。
この場合、管理者は悪意又は重大な過失がなければ損害賠償責任を負いません。
したがって、善良な管理者の注意までは求められず、責任は軽減されています。
4:× 正しい記述です。
管理者は本人のために有益な費用を支出したとき、本人にその償還を請求できます(民法702条1項)。
本人の意思に反して管理した場合だけ、本人が現に利益を受けている限度に制限されます(同条3項)。
意思に反していないので、Aは有益費全額を請求できます。
【ポイント】
事務管理では、報酬は請求できず、有益費は請求できると整理しましょう。
通常の事務管理は善管注意義務ですが、緊急事務管理は悪意・重過失がある場合に限り責任を負います。