債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額2,400万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額3,000万円)をそれぞれ有しているが、BはDの利益のために抵当権の順位を譲渡した。
甲土地の競売に基づく売却代金が6,000万円であった場合、Bの受ける配当額として、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
抵当権の順位の譲渡(民法376条1項)があった場合の配当額を計算する問題です。
順位の譲渡では、譲渡人Bと譲受人Dが本来受けるはずの配当額を合計し、その中からDが優先して配当を受けます。
間にいるCの配当額は影響を受けません。
【計算】
順位の譲渡がない場合、まずBが2,000万円、次にCが2,400万円の配当を受けます。
Dの本来の配当は、6,000万円 − 2,000万円 − 2,400万円 = 1,600万円です。
BとDの配当の合計は、2,000万円 + 1,600万円 = 3,600万円です。
この3,600万円から、まずDが債権額3,000万円を優先して受け取ります。
Bの配当は、3,600万円 − 3,000万円 = 600万円となります。
【選択肢別解説】
1:○ 上の計算のとおり、Bの配当額は600万円です。
2:× 1,000万円は、上の計算からは導かれない数値です。
BとDの配当合計3,600万円からDが3,000万円を優先して受けるので、Bの配当は600万円です。
3:× 1,440万円は、順位の「放棄」をした場合の数値です。
放棄なら合計3,600万円を債権額の割合2,000万円対3,000万円で按分しますが、本問は順位の「譲渡」なのでBは600万円です。
4:× 1,600万円は、順位の譲渡がない場合のDの配当額です。
順位の譲渡後は、Bの本来の配当とあわせた3,600万円の中でDが優先するため、Bは600万円です。
【ポイント】
順位の譲渡・放棄の計算は、「当事者2人の本来の配当額を合計し、その中で分け直す」と覚えます。
譲渡なら譲受人が優先し、放棄なら債権額の割合で按分します。