宅地建物取引業者Aが、自ら売主として締結する売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
正答
解説
本問は採点除外(正解肢が2つ:1・4のいずれも正解)です。
宅建業者が自ら売主となる場合の8種制限(契約不適合責任の特約の制限・手付金等の保全措置)を問う問題です。
この問題は誤っているものを選ぶので、○ が答え(誤った記述)です。
試験実施機関は、1と4のいずれも正解とする扱いを公表しました(令和2年12月2日)。
肢1の特約は、読み方によって有効とも無効とも評価できるためです。
【選択肢別解説】
1:○ 公式に正解(誤った記述)とされた肢です。
宅建業法40条は、通知期間を引渡しの日から2年以上とする特約を除き、民法より買主に不利な特約を禁じています。
民法では、買主は不適合を知った時から1年以内に通知すれば、権利を保存できます(民法566条)。
通知した後の権利は、知った時から5年などの消滅時効にかかるまで存続します(民法166条1項)。
「知った時から2年」で責任が終わると読むと、この存続期間を縮める不利な特約となり、無効です(宅建業法40条2項)。
一方、通知の期間を1年から2年に延ばす特約と読めば、買主に有利なので有効とも考えられます。
このように評価が分かれるため、1も正解とされました。
2:× 記述は正しいので、答えにはなりません。
【計算】
未完成物件で保全措置が不要となるのは、代金の5%以下かつ1,000万円以下の場合です(宅建業法41条1項)。
代金5,000万円×5%=250万円です。
手付金200万円は250万円以下なので、保全措置なしで受領できます。
中間金を加えると200万円+300万円=500万円となり、250万円を超えます。
そのため、中間金を受領する前に、500万円全額について保全措置を講じる必要があります。
3:× 記述は正しいので、答えにはなりません。
8種制限は、宅建業者間の取引には適用されません(宅建業法78条2項)。
買主Dは宅建業者なので、保全措置なしで手付金800万円を受領できます。
4:○ 公式に正解(誤った記述)とされた肢で、記述の後半が誤りです。
責任を一切負わない特約は、民法より買主に不利なので無効です(宅建業法40条1項・2項)。
特約が無効になると民法の規定に戻り、「引渡しの日から2年」になるわけではありません。
買主は、不適合を知った時から1年以内に通知すれば、責任を追及できます(民法566条)。
【ポイント】
業者売主の契約不適合責任で有効な不利特約は、通知期間を「引渡しの日から2年以上」とするものだけです。
無効な特約は「引渡しから2年」に置き換わるのではなく、民法の原則に戻ります。