Aが1人で居住する甲建物の保存に瑕疵があったため、令和3年7月1日に甲建物の壁が崩れて通行人Bがケガをした場合(以下この問において「本件事故」という。)における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
土地の工作物の設置・保存の瑕疵による責任(民法717条)と、不法行為の損害賠償請求権の消滅時効の問題です。
この問題は誤っているものを選ぶので、○ が答え(誤った記述)です。
工作物責任は、まず占有者が負い、占有者が必要な注意をしたときは所有者が無過失責任を負います。
【選択肢別解説】
1:○ 記述は誤りです。
賃借人Aは甲建物の占有者として、まず工作物責任を負います(民法717条1項本文)。
占有者が免責されるのは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときだけです。
必要な注意をしなかったAは、Bに対して責任を負います。
2:× 記述は正しいので答えになりません。
所有者の責任は、必要な注意をしたかどうかを問わない無過失責任です(民法717条1項ただし書)。
Aは自ら所有し居住しているので、所有者として責任を負います。
3:× 記述は正しいので答えになりません。
不法行為の時から20年間行使しないときは、損害賠償請求権は時効によって消滅します(民法724条2号)。
4:× 記述は正しいので答えになりません。
人の生命又は身体を害する不法行為では、損害及び加害者を知った時から5年で時効消滅します(民法724条の2)。
通常の3年がケガの場合は5年に延長されています。
【ポイント】
工作物責任は「占有者は過失責任、所有者は無過失責任」です。
生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、主観的起算点から5年、客観的起算点から20年と覚えましょう。