賃貸物件内に存する借主の所有物(以下、本問において「私物」という。)の廃棄に関する次の記述のうち、不適切なものの組合せはどれか。
ア 借主が死亡し、相続人全員が相続放棄をした場合、貸主は当該私物を廃棄することができる。
イ 共用部分に私物が放置されている場合、私物の所有者が不明なときは、管理会社は私物を廃棄することができる。
ウ 借主が行方不明となった場合、保証人の了承があったとしても、貸主は貸室内の私物を廃棄することはできない。
エ 借主が行方不明となった場合、賃貸借契約書に貸主が貸室内の私物を処分することができる旨の記載があったとしても、貸主は私物を廃棄することができない。
正答1
解説
正解は1です。
この問題は不適切な記述の組合せを選びます。
【記述別解説】の ○・× は、記述の内容が適切か不適切かを表します。
借主の私物を貸主や管理会社が一方的に処分することは、自力救済の禁止との関係で原則として許されません。
【記述別解説】
ア:× 相続人全員が相続放棄をすると、相続財産は法人となり(民法951条)、家庭裁判所が選任する相続財産管理人が管理します(952条)。
私物は相続財産に属するので、貸主が勝手に廃棄することはできず、記述は不適切です。
イ:× 共用部分に放置された私物でも、所有者が不明というだけで所有権がなくなるわけではありません。
管理会社が一方的に廃棄することは自力救済に当たるおそれがあり、記述は不適切です。
ウ:○ 保証人は私物の所有者ではないので、保証人の了承は廃棄の根拠になりません。
貸主が廃棄できないとする記述は適切です。
エ:○ 契約書に私物を処分できる旨の条項があっても、自力救済を認める条項は公序良俗に反し無効と解されています。
したがって貸主は廃棄できず、記述は適切です。
不適切なのはアとイなので、正解は1です。
【ポイント】
所有者のいる物を処分するには、所有者本人の同意か、訴訟と強制執行などの法的手続が必要です。
なお、2023年4月施行の改正民法で、相続財産管理人は「相続財産清算人」に名称が変わりました。