正答5
解説
正解は5です。
嚥下障害に対する手術の目的を、図の切除部位から考える問題です。
図の所見は次のとおりです。
図は喉頭と気管を側方から見たもので、上から舌骨、甲状軟骨、輪状軟骨、気管が示されています。
楕円は輪状軟骨の後方で、咽頭の下端から食道の始まりに移る部分の筋を示しています。
この位置の筋は輪状咽頭筋で、食道入口部を締めている上部食道括約筋に当たります。
したがって図の手術は輪状咽頭筋切断術です。
【選択肢別解説】
1:× 誤りです。
喉頭を挙上させる手術は喉頭挙上術で、甲状軟骨を舌骨や下顎骨に引き寄せて固定します。
2:× 誤りです。
喉頭閉鎖を強化する手術としては、声帯内方移動術などがあります。
輪状咽頭筋の切除は喉頭閉鎖には作用しません。
3:× 誤りです。
輪状咽頭筋の切除は食道入口部の抵抗を減らす手術で、咽頭内圧を上昇させるものではありません。
4:× 誤りです。
気道と食道を分ける手術は喉頭気管分離術や喉頭全摘出術で、重度の誤嚥に対して行います。
5:○ 正しい選択です。
輪状咽頭筋を切除すると上部食道括約筋の緊張がなくなり、嚥下時に食道入口部が開きやすくなって、食塊が食道へ通過しやすくなります。
【ポイント】
輪状咽頭筋切断術は、ワレンベルク症候群などで食道入口部の開大が不十分な場合に、喉頭挙上術と組み合わせて行われることがあります。
嚥下機能改善手術と誤嚥防止手術(喉頭気管分離術など)を区別して覚えます。
【用語】
輪状咽頭筋:咽頭の下端にあり、食道の入口を締めている筋で、上部食道括約筋にあたる。
食道入口部:咽頭から食道へ食べ物が入る部分で、嚥下のとき以外は閉じている。
喉頭閉鎖:嚥下のときに声門や喉頭の入口を閉じて、食物が気道に入るのを防ぐ動きである。