正答5
解説
正解は5です。
高齢男性が軽い頭部外傷から約1か月後に、頭痛と物忘れを起こしています。
頭部CTの所見と経過を合わせて診断する問題です。
CTでは、右側の頭蓋骨の内側に沿って、脳表を覆う三日月形の領域がみられます。
この領域の部分では脳溝が見えにくくなり、正中の構造と側脳室が左側へ押されています。
このような頭蓋骨に沿った三日月形の病変は、硬膜下の血腫を示す所見です。
【選択肢別解説】
1:× 誤りです。
脳出血は脳実質の内部に生じる塊状の高吸収域です。
頭蓋骨に沿った三日月形にはなりません。
2:× 誤りです。
脳腫瘍は脳内の塊状の病変として映り、外傷との時間的な関係も説明できません。
3:× 誤りです。
正常圧水頭症は脳室が全体に拡大する病気で、歩行障害・認知障害・尿失禁が三徴です。
片側の脳表に沿った病変とは合いません。
4:× 誤りです。
急性硬膜下血腫は、強い外傷の直後から意識障害などで発症します。
受傷から1か月経って症状が出る経過とは合いません。
5:○ 正しい記述です。
慢性硬膜下血腫は、軽い頭部外傷の後、数週から数か月かけて硬膜下に血液がたまります。
高齢や飲酒が危険因子で、頭痛・物忘れ・片麻痺などで発症します。
【ポイント】
慢性硬膜下血腫は、手術で血腫を除去すると認知機能が改善しうる「治療可能な認知症」の一つです。
急性硬膜下血腫も慢性硬膜下血腫も三日月形ですが、受傷から発症までの経過で区別します。
【用語】
慢性硬膜下血腫:軽い頭部外傷の数週間後などに、脳を包む硬膜の下に血液がたまる病気である。
急性硬膜下血腫:強い外傷の直後に硬膜の下で出血し、脳を圧迫する重症の出血である。
正常圧水頭症:脳室が拡大して、歩行障害・認知障害・尿失禁を起こす病気である。