小学校1年生の男児。
幼少期からことばの発達の遅れがあった。
就学前までには簡単な会話が可能になったが、説明は困難であった。
1年生になり、夏休みまでには自分の名前が読めるようになったが、名前の1文字を単独に示されると「僕の名前の字」と言って読めなかった。
WISC-Ⅳでの知覚推理指標は97であった。
現時点で言語指導の優先順位が低いのはどれか
正答3
解説
正解は3です。
この問題は言語指導の優先順位が低いものを選ぶので、○ が答えです。
この男児は知覚推理指標が97と平均的であり、視覚的な推理の力は保たれています。
一方で、名前を文字列のまとまりとしては読めても、1文字ずつの文字と音の対応はまだ身についていません。
会話での説明も困難であり、まずは音韻意識や文字と音の対応、会話の基礎を育てる段階です。
【選択肢別解説】
1:× 音韻抽出課題は優先順位が高いです。
語を音に分けて特定の音を取り出す力(音韻意識)は、1文字ずつ読むための基盤です。
2:× 日常会話での質問・応答課題は優先順位が高いです。
簡単な会話はできても説明が難しいため、やりとりの中でことばの力を育てる必要があります。
3:○ 助詞の穴埋め課題は優先順位が低いです。
文字を1文字ずつ読めない段階では、文中の助詞を読んで補う課題は難しすぎます。
文字の読みの基礎が身についてから取り組む課題です。
4:× 絵と文字単語の線結び課題は優先順位が高いです。
保たれた視覚的な力を使い、文字単語を意味と結びつけて、読みの手がかりを増やします。
5:× 五十音表での文字さがし課題は優先順位が高いです。
五十音表の行と段の規則を手がかりに、1文字ずつの文字と音の対応を身につけていきます。
【ポイント】
読みの指導は、音韻意識と文字と音の対応という基礎から始め、単語、文へと段階的に進めます。
保たれている能力(ここでは視覚的な推理力)を活用する視点も大切です。
【用語】
WISC-Ⅳ:5歳から16歳までの子どもを対象とした知能検査で、全体的な知能と各指標得点を求める検査である。
知覚推理指標:WISC-Ⅳの指標の一つで、視覚的な情報から推理したり考えたりする力を表す。
音韻抽出課題:語のなかから特定の音を取り出して答える課題で、音韻意識を調べたり育てたりする。
音韻意識:言葉を音の単位に分けたり、その音を操作したりして意識的にとらえる力である。