正答3
解説
正解は3です。
オージオグラムでは、右耳の気導閾値(○)が125Hzで約25dB、1,000Hzで約45dB、8,000Hzで約65dBです。
左耳の気導閾値(×)も125Hzで約25dB、2,000Hzで約60dB、8,000Hzで約70dBと、ほぼ同じ形です。
骨導閾値([ と ])は、各周波数で気導閾値とほぼ重なり、気導と骨導の差はほとんどありません。
これは高音域ほど悪くなる左右対称の感音難聴で、83歳という年齢から加齢性難聴(老人性難聴)と考えられます。
【選択肢別解説】
1:× ティンパノメトリーB型は整合しません。
気導と骨導の差がなく中耳は正常と考えられるため、正常のA型になるはずです。
2:× UCL(不快閾値)45dBは整合しません。
聴力レベルが40〜60dBの耳では、不快閾値は閾値よりかなり大きく、通常90dB以上になります。
3:○ 最高語音明瞭度65%は整合します。
加齢性難聴では内耳や中枢の聴覚処理の機能が低下し、音を大きくしても語音明瞭度が十分に上がりません。
4:× 自記オージオメトリーのJerger III型は整合しません。
III型は連続音で閾値が急に悪化する型で、後迷路性難聴を示します。
内耳性の加齢性難聴ではII型を示すことが多いです。
5:× ABLB(両耳音の大きさの平衡検査)で補充現象陽性は整合しません。
ABLBは片耳の聴力が正常であることが前提の検査です。
本例は左右とも同程度の難聴のため、検査の条件を満たしません。
【ポイント】
加齢性難聴は、両側対称の高音障害型感音難聴で、語音明瞭度が聴力の割に低下しやすいのが特徴です。
【用語】
オージオグラム:聴力検査の結果を、周波数ごとの聴力レベルで表したグラフである。
最高語音明瞭度:語音聴力検査で、音の大きさを変えたときに得られる最も高い聞き取りの割合を指す。
加齢性難聴:加齢に伴って両耳に対称的に生じる、高音域ほど悪い感音難聴で、老人性難聴ともいう。
UCL:不快閾値の略称で、音を大きくしたときに不快に感じ始める音の大きさを指す。
ABLB:両耳音の大きさの平衡検査の略称で、左右の耳で音が同じ大きさに聞こえるレベルを比べ補充現象を調べる。
補充現象:一定以上の大きさになると、音が急に大きく感じられる内耳性難聴の特徴である。