30歳の男性。
1週前、野球の試合中バットを強く握りスイングした時、強い痛みを覚えた。
受傷直後から小指のしびれを訴えている。
手掌の遠位手根骨尺側部分に強い圧痛を認めた。
母指の運動で制限がみられるのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
バットを強く握ったスイングでの受傷、手掌の遠位手根骨尺側(小指球近位部)の強い圧痛、小指のしびれがみられます。
これは有鈎骨鈎骨折と、それに伴うギヨン管部での尺骨神経障害を示します。
【選択肢別解説】
1:× 母指の屈曲は、主に長母指屈筋(正中神経の枝の前骨間神経)と短母指屈筋が担います。
尺骨神経障害で大きく制限される運動ではありません。
2:× 母指の伸展は、長母指伸筋・短母指伸筋が担い、どちらも橈骨神経支配です。
尺骨神経障害では制限されません。
3:○ 母指内転筋は尺骨神経深枝に支配されます。
尺骨神経が障害されると母指の内転が弱くなり、紙を挟ませると母指IP関節が屈曲するフロマン徴候が出ます。
4:× 母指の外転は、短母指外転筋(正中神経)と長母指外転筋(橈骨神経)が担います。
尺骨神経障害では制限されません。
【ポイント】
有鈎骨鈎骨折はゴルフ・野球・テニスなどのスイング競技で起こり、尺骨神経障害を合併しやすい骨折です。
尺骨神経麻痺の徴候として、鷲手変形とフロマン徴候を覚えましょう。