21歳の男性。
柔道の乱取り中、相手に技をかけた時に自らもバランスを崩して転倒し、畳に指先を突き受傷した。
疼痛が軽度であったので指先をテーピング固定して練習を継続したが、次第に力が入りにくくなり、痛みも強くなったため中断した。
この時の患部の写真(別冊No.3)を別に示す。
中指DIP関節の伸展は不能であるが、PIP関節の屈伸は可能である。
考えられるのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
指先を突いて受傷し、中指DIP関節の伸展ができず、PIP関節の屈伸は可能です。
これはDIP関節の伸展を担う終止腱(指伸筋腱の末端)が断裂した腱性の槌指(マレットフィンガー)の所見です。
【図の所見】
写真では、中指のDIP関節が屈曲位に垂れ下がり、指先が下を向いています。
DIP関節からPIP関節にかけての背側には腫脹がみられます。
PIP関節に大きな変形はなく、DIP関節だけが伸びない状態であることが読み取れます。
【選択肢別解説】
1:○ 指伸筋腱の終止腱がDIP関節の背側で断裂すると、DIP関節を自動伸展できなくなります。
PIP関節の伸展は中央索が担うため保たれ、写真のようにDIP関節だけが屈曲位をとります。
2:× PIP関節背側脱臼では、PIP関節部に変形と弾発性固定がみられ、PIP関節の屈伸ができません。
本例はPIP関節の屈伸が可能なので当てはまりません。
3:× 浅指屈筋腱は中節骨に付着し、PIP関節を屈曲させます。
断裂するとPIP関節の屈曲が障害され、DIP関節の伸展障害は生じません。
4:× 正中索(中央索)は中節骨基部に付着し、PIP関節を伸展させます。
断裂するとPIP関節の伸展が障害され、PIP関節屈曲・DIP関節過伸展のボタン穴変形となります。
【ポイント】
槌指には、腱の断裂による腱性槌指と、末節骨背側の裂離骨折による骨性槌指があります。
腱性槌指はDIP関節伸展位(軽度過伸展位)で長期間固定するのが基本です。