20歳の男性。
サッカーで相手選手と接触し、地面に左手の手掌を強く衝き、手関節部に強い疼痛を感じた。
当日は自分で患部を冷やし、テーピングで固定した。
1週経過しても症状が改善されなかったので来所した。
初検時、手関節部の腫脹は著明で、背屈制限、母指および示指からの軸圧痛、スナッフボックス部の圧痛が認められた。
専門医の診断を仰いだところ、骨折と診断された。
単純エックス線写真(別冊No. 3)を示す。
この骨折の特徴で正しいのはどれか。
2つ選べ。
正解を2つ選んでください。
正答1・4
解説
正解は1と4です。
手掌をついて受傷し、スナッフボックス部の圧痛と母指・示指からの軸圧痛がある症例です。
エックス線写真は手関節部の正面像で、手根骨の母指側にある舟状骨が骨折部位と考えられます。
これらの所見から舟状骨骨折と判断します。
【選択肢別解説】
1:○ 舟状骨骨折は転位が少ないため、受傷直後のエックス線像では骨折線を確認できないことがあります。
疑わしい場合は舟状骨撮影を追加し、2週間ほどして再撮影することがあります。
2:× 手関節部の変形は著明ではありません。
転位が少ないため外観上の変形はわずかで、捻挫と誤認されやすいのです。
3:× 固定期間は比較的短期間ではなく、長期間です。
骨癒合に時間がかかるため、数か月に及ぶ固定を要することが多いです。
4:○ 舟状骨は表面の多くが関節軟骨で覆われ、栄養血管は遠位から入ります。
そのため骨折すると近位骨片への血流が乏しくなり、骨癒合が遷延しやすく偽関節や骨壊死を起こしやすいのです。
【ポイント】
舟状骨骨折は「スナッフボックス圧痛・初期にエックス線で見逃されやすい・偽関節になりやすい」と覚えます。
本例のように受傷後放置されると、偽関節の危険がさらに高まります。