72歳の女性。
歯科医院にて治療中、閉口困難を訴えた。
半開口位のままで開閉はわずかに可能である。
下顎歯列は上顎歯列の前方に偏位し、頤部も左側にやや偏位していた。
考えられるのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
顎関節脱臼の型を、症状から判断する問題です。
歯科治療で大きく口を開け続けたことで、下顎頭が関節結節を越えて前方へ外れたと考えられます。
脱臼が片側か両側かは、頤部(オトガイ)が偏位しているかどうかで見分けます。
【選択肢別解説】
1:○ 右顎関節前方脱臼が考えられます。
片側の前方脱臼では、下顎は前方へ出て、頤部は健側(脱臼していない側)へ偏位します。
本例は頤部が左側へ偏位しているので、右側が脱臼していると判断できます。
半開口位で、わずかに開閉できる点も片側脱臼の特徴です。
2:× 側方脱臼は、下顎骨の骨折を伴う場合にまれに起こる型です。
本例は下顎歯列が前方へ偏位しており、前方脱臼の所見です。
3:× 両側の前方脱臼では、頤部は左右に偏位せず正中で前方へ突出します。
口は大きく開いたままで閉じられず、本例の頤部の左偏位と一致しません。
4:× 後方脱臼は、外耳道前壁の骨折などを伴うまれな型です。
後方脱臼では下顎が後退するので、下顎歯列が前方へ偏位する本例とは逆の所見です。
【ポイント】
片側の顎関節前方脱臼では頤部は健側へ偏位し、両側脱臼では正中で前方へ突出します。
高齢者では大きなあくびや歯科治療が脱臼の誘因になりやすいです。