30歳の男性。
職業はプログラマーである。
10日程前から前腕外側に腫脹と圧痛を自覚し来所した。
来所時、母指を自動運動させると痛みが増強し握雪音が聴取できた。
考えられるのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
前腕外側の腫脹・圧痛と、母指運動時の握雪音から疾患を判断する問題です。
母指を動かす腱と手関節の伸筋腱が交差する部位では、腱同士の摩擦で炎症が起こります。
握雪音(雪を握るようなギシギシした音)は、腱周囲の炎症を示す所見です。
【選択肢別解説】
1:× 回内筋症候群は、円回内筋の部位で正中神経が圧迫される病態です。
前腕掌側の痛みと、母指から環指橈側のしびれが特徴で、握雪音はみられません。
2:× 狭窄性腱鞘炎(ド・ケルバン病)は、橈骨茎状突起部の第1区画での腱鞘炎です。
痛みは手関節の橈側に限局し、前腕外側の腫脹と握雪音を呈する本例とは部位が異なります。
3:○ 腱交叉症候群が考えられます。
手関節より数cm近位の前腕背外側で、長母指外転筋・短母指伸筋の腱が橈側手根伸筋腱の上を交差します。
母指の運動を繰り返すと交差部で摩擦が起こり、腫脹・圧痛と握雪音が生じます。
キーボード操作を長時間行うプログラマーという職業も誘因になります。
4:× 三角線維軟骨複合体損傷は、手関節の尺側の損傷です。
尺側の痛みや前腕回旋時の痛みが特徴で、前腕外側の症状とは一致しません。
【ポイント】
腱交叉症候群は「ド・ケルバン病より近位の前腕背外側・握雪音」が鑑別点です。
長母指外転筋・短母指伸筋と橈側手根伸筋腱の交差部で起こると覚えます。