76歳の女性。
大腿骨頸部骨折の手術後、離床を開始した直後に突然の胸痛と呼吸困難を訴えた。
経皮的酸素飽和度は 88 % と低下し、頻脈、頻呼吸がみられた。
最も考えられるのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
大腿骨頸部骨折の手術後は、安静臥床によって下肢の静脈に血栓ができやすい状態です。
離床で体を動かした直後に、下肢の深部静脈の血栓がはがれて肺動脈に詰まる危険があります。
突然の胸痛と呼吸困難、経皮的酸素飽和度88%の低酸素、頻脈、頻呼吸は、この病態に典型的な所見です。
【選択肢別解説】
1:× 気管支喘息は考えにくいです。
喘息では呼気の延長や喘鳴がみられ、手術後の離床を契機に突然胸痛を伴って発症する経過は典型的ではありません。
2:× 心房細動は最も考えられる病態ではありません。
心房細動では動悸や脈の不整がみられますが、突然の胸痛と高度の低酸素を説明しにくいためです。
3:× 肺炎は考えにくいです。
肺炎では発熱や咳、痰が数日の経過で現れ、離床直後に突然発症することはありません。
4:○ 肺血栓塞栓症が最も考えられます。
術後の臥床で生じた深部静脈血栓が離床時に遊離し、肺動脈を閉塞して急激な低酸素を起こしたと考えられます。
【ポイント】
深部静脈血栓症の原因は、血流のうっ滞、血管内皮の障害、血液凝固能の亢進の3つです(ウィルヒョウの3徴)。
予防には早期離床、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法、抗凝固療法が用いられます。