40歳の女性。
頸椎捻挫の施術中に前頸部の腫れに気が付いた。
本人から話を聞いたところ、半年ほど前から仕事をする気力がなくなり、3か月ほど前から皮膚の乾燥と便秘が続いており、寒がりになっているとのことであった。
脈拍は46/分・整。
下腿前面に指圧痕の残らない浮腫がみられる。
考えられるのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
この女性には、前頸部の腫れ(甲状腺腫)、気力の低下、皮膚の乾燥、便秘、寒がり、徐脈(46/分)がみられます。
さらに、指で押しても跡が残らない浮腫は粘液水腫と呼ばれ、甲状腺機能低下症に特徴的です。
甲状腺腫を伴う甲状腺機能低下症の原因として最も多いのは、慢性甲状腺炎(橋本病)です。
【選択肢別解説】
1:× うつ病ではありません。
気力の低下はうつ病でもみられますが、甲状腺腫、徐脈、粘液水腫は説明できません。
2:× 心不全ではありません。
心不全の浮腫は指で押すと跡が残る圧痕性浮腫で、脈拍は通常は速くなります。
3:○ 橋本病が考えられます。
自己免疫で甲状腺が破壊されて甲状腺ホルモンが不足し、代謝が低下して寒がり・便秘・徐脈・皮膚乾燥・粘液水腫が生じます。
4:× バセドウ病ではありません。
バセドウ病は甲状腺機能亢進症で、頻脈、暑がり、発汗過多、下痢、体重減少など反対の症状を示します。
【ポイント】
甲状腺機能低下症の非圧痕性浮腫(粘液水腫)は、皮下にムコ多糖類がたまるために生じます。
橋本病は中年女性に多く、抗サイログロブリン抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体が陽性になります。