23歳の男性。
スケートボードの練習中、右手で体重を支持するような動作をすると、手関節の尺側部に痛みを自覚したため来所した。
半年前に右橈骨遠位端を骨折し、医科にて保存療法を受け、若干の背屈転位が残存するも治癒との診断を1か月前に受けた既往がある。
握力の低下はなく、手部の筋萎縮や自発性感覚異常もみられない。
考えられるのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
橈骨遠位端骨折後に背屈転位が残ると、橈骨が短縮して尺骨が相対的に長くなり、手関節の尺側に負担がかかります。
荷重時の尺側部痛があり、握力低下や筋萎縮、感覚異常がない点が鑑別の鍵です。
【選択肢別解説】
1:○ 三角線維軟骨複合体損傷が考えられます。
尺骨の相対的な突き上げで三角線維軟骨複合体(TFCC)が尺骨頭と手根骨の間で圧迫され、手をついて体重をかけると尺側部痛が生じます。
2:× 橈骨神経障害は考えにくいです。
橈骨神経障害では手関節や手指の伸展力低下、手背橈側の感覚障害が生じますが、本症例にはこれらの所見がありません。
3:× 反射性交感神経性ジストロフィーは考えにくいです。
この病態では灼熱痛や腫脹、皮膚の色調変化、骨萎縮や筋萎縮がみられますが、本症例には自発性の異常も筋萎縮もありません。
4:× 月状骨軟化症は考えにくいです。
月状骨軟化症(キーンベック病)は手関節の中央背側部に疼痛が生じ、握力低下を伴うのが典型で、尺側部痛とは部位が異なります。
【ポイント】
TFCC損傷では、手関節を尺屈して圧迫する尺屈ストレステストで疼痛が誘発されます。
橈骨遠位端骨折の変形治癒は、尺骨突き上げ症候群やTFCC損傷の原因になることを押さえておきます。