72歳の男性。
震災後の避難所で車内生活をしている。
外傷歴はないが、昨日から下肢の痛みと腫れを訴えている。
家族に聴取したところ、「今朝は顔色も悪く、胸に痛みがあるようだ」という。
男性に声をかけたところ肩で息をし始め、頻脈と意識がもうろうとなった。
考えられるのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
長時間同じ姿勢を続けると下肢の深部静脈に血栓ができ、それが肺動脈に詰まると肺塞栓症を起こします。
震災後の車中生活、外傷のない下肢の痛みと腫れ、続く胸痛・呼吸困難・頻脈・意識障害という経過が鍵です。
【選択肢別解説】
1:× 脂肪塞栓症候群は考えにくいです。
脂肪塞栓症候群は大腿骨など長管骨の骨折後に生じるもので、本症例には外傷歴がありません。
2:× クラッシュ症候群は考えにくいです。
クラッシュ症候群は倒壊物などで長時間圧迫された筋が解放された後に高カリウム血症や急性腎不全を起こすもので、本症例には圧迫の既往がありません。
3:○ エコノミークラス症候群が考えられます。
車内で長時間座ったままの姿勢により下肢に深部静脈血栓症が生じ、下肢の痛みと腫れを起こしています。
その血栓が肺動脈に詰まり、胸痛・呼吸困難・頻脈・意識障害を呈しています。
4:× 下腿コンパートメント症候群は考えにくいです。
コンパートメント症候群は骨折や打撲などの後に筋区画内圧が上がるもので、外傷歴がなく、胸痛や呼吸困難も説明できません。
【ポイント】
エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)の予防には、こまめな水分補給と足関節の運動、ときどき歩くことが有効です。
災害時の避難所や車中泊では高齢者に多く、片側の下肢の腫れは危険信号です。