54歳の男性。
右前腕掌側近位に疼痛を自覚していたが、母指と示指が曲がりにくくなったとの主訴で来所した。
母指と示指でマルを作る動作を指示したところ、きれいなマルを作ることができない。
考えられないのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
この問題は考えられないものを選ぶので、○ が答えです。
母指と示指できれいなマルが作れないのは、長母指屈筋と示指の深指屈筋が麻痺し、指先が伸びたままの涙のしずく形になるためです。
前腕掌側近位の疼痛を伴うことから、前腕近位部での正中神経の障害(前骨間神経麻痺や回内筋症候群)が考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 母指球筋の萎縮は考えられます。
前腕近位で正中神経本幹が絞扼される回内筋症候群では、母指球筋にも麻痺と萎縮が生じえます。
2:× 方形回内筋の麻痺は考えられます。
方形回内筋は長母指屈筋や示指の深指屈筋と同じく前骨間神経の支配で、ともに麻痺します。
3:× 示指末節部の感覚異常は考えられます。
正中神経本幹が障害されれば、母指から環指橈側の掌側、とくに示指末節部に感覚異常が生じます。
4:○ 背側骨間筋の萎縮は考えられません。
背側骨間筋は尺骨神経深枝の支配であり、正中神経の障害では萎縮しません。
【ポイント】
前骨間神経は運動枝で、長母指屈筋、示指と中指の深指屈筋、方形回内筋を支配します。
純粋な前骨間神経麻痺では感覚障害はなく、感覚障害があれば正中神経本幹の障害を考えます。