〔事例〕
Jさん(20歳、男性)は、中度の知的障害を伴う自閉症(autism)があり、2か月前から就労継続支援B型事業所を利用している。
Jさんは、日常生活に関することは自分の感情を伝えることができるが、他者の感情を読み取ることや抽象的な言葉の理解は苦手である。
また、社会的な善悪に照らして自分の言動を判断することが難しい。
ある日、事業所で作業中にJさんが興奮して他の利用者を叩いた。
介護福祉職は二人を引き離し、Jさんを個室に連れて行って対応した。
作業終了後、同居している家族にJさんの出来事を伝えた。
家族はJさんに、「どうしてそんなことをするの。いつもだめなことばかりして」とイライラした口調で叱った。
Jさんを個室に連れて行ったときの、介護福祉職のJさんに対する最初の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答4
解説
正解は4です。
この問題は、興奮して他者を叩いた知的障害を伴う自閉症の人への、最初の言葉かけを問うています。
Jさんは「他者の感情を読み取ることや抽象的な言葉の理解は苦手」で、「社会的な善悪に照らして自分の言動を判断することが難しい」とされています。
興奮している直後なので、まず気持ちを落ち着けられるよう、短く具体的な言葉で伝えることが大切です。
【選択肢別解説】
1:× 善悪に照らした判断が難しいJさんに、興奮の直後に叱る言葉をかけても理解しにくく、さらに興奮させるおそれがあります。
2:× 他者の気持ちを想像することは、Jさんが苦手とすることです。
抽象的な指示で、最初の言葉かけとしては不適切です。
3:× 「反省」は抽象的な言葉で、Jさんには理解しにくい言葉です。
責められていると感じて混乱を招きます。
4:○ 「ここで話をしましょう」は短く具体的で、これから何をするかが分かる言葉です。
Jさんが落ち着いて話せる場を作れます。
5:× 「なぜ」と理由を問うと、自分の気持ちを整理して説明する必要があり、Jさんには難しい質問です。
興奮が続いている時には混乱を招きます。
【ポイント】
自閉症の人には、短く・具体的に・肯定的な表現で伝えることが基本です。
興奮しているときは、まず刺激の少ない環境で落ち着いてもらうことを優先します。