〔事例〕
Jさん(75歳、男性)は先天性の全盲である。
これまで自宅で自立した生活をしてきたが、最近、心身機能の衰えを感じて、有料老人ホームに入居した。
施設での生活にまだ慣れていないので、移動は介護福祉職に誘導してもらっている。
ある日、介護福祉職がJさんを自室まで誘導したときに、「いつも手伝ってもらってすみません。なかなか場所を覚えられなくて。私はここでやっていけるでしょうか」と話してきた。
Jさんの不安な気持ちを軽くするための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答4
解説
正解は4です。
視覚障害のある利用者が新しい環境に慣れるための支援を問う問題です。
Jさんは入居したばかりで「なかなか場所を覚えられなくて」「ここでやっていけるでしょうか」と話しています。
不安の原因は施設内の位置関係がわからないことであり、場所を覚えられるよう具体的に支援することが求められます。
【選択肢別解説】
1:× 先に肩にふれると、かえって驚かせてしまいます。
視覚障害のある人には、まず名前を名乗って声をかけてから、からだにふれるようにします。
2:× 誘導時の声かけを最小限にするのは不適切です。
段差や曲がり角、周囲の状況を言葉で伝えることで、安心して歩くことができます。
3:× 「こちらに」という指示語では方向がわかりません。
「右に曲がります」のように、具体的な言葉で伝えます。
4:○ トイレや食堂などを一緒に歩いて確認するのが適切です。
手すりや壁、曲がり角などの手がかりを実際にたどることで位置関係を覚えやすくなり、一人で移動できる見通しが立ちます。
5:× 好きな所に座るように伝えても、Jさんには座席の位置や空き状況がわかりません。
座席の位置を決めて案内するほうが、安心して食事ができます。
【ポイント】
先天性の全盲の人は、触覚や聴覚などの手がかりを使って空間を把握してきました。
新しい場所では、介護福祉職が一緒に歩いて手がかりを確認することで、自立した移動につなげます。