〔事例〕
Fさん(20歳、男性)は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)と重度の知的障害があり、自宅で母親(50歳)、姉(25歳)と3人で暮らしている。
Fさんは生活介護事業所を利用している。
事業所では比較的落ち着いているが、自宅に帰ってくると母親に対してかみつきや頭突きをすることがあった。
また、自分で頭をたたくなどの自傷行為もたびたび見られる。
仕事をしている母親に代わり、小さい頃から食事や排泄の介護をしている姉は、これまでFさんの行動を止めることができていたが、最近ではからだが大きくなり力も強くなって、母親と協力しても止めることが難しくなっていた。
家族で今後のことを考えた結果、Fさんは障害者支援施設に入所することになった。
次のうち、Fさんが自宅に帰ってきたときの状態に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答4
解説
正解は4です。
自閉症スペクトラム障害と重度の知的障害のある人の状態を問う事例問題です。
Fさんは自宅に帰ると「母親に対してかみつきや頭突き」をし、「自分で頭をたたくなどの自傷行為」もたびたびみられます。
家族が止めることも難しくなっています。
【選択肢別解説】
1:× 学習障害は、知的発達に遅れはないのに、読む・書く・計算するなど特定の能力の習得に著しい困難がある状態です。
Fさんの状態には当てはまりません。
2:× 注意欠陥多動性障害は、不注意・多動性・衝動性を特徴とする発達障害です。
かみつきや自傷が高い頻度で起こる状態を表す言葉ではありません。
3:× 高次脳機能障害は、脳卒中や頭部外傷などで脳が損傷を受けた後に生じる、記憶や注意などの障害です。
Fさんの状態には当てはまりません。
4:○ 強度行動障害は、自傷・他害(かみつきや頭突き)・物を壊すなどの行動が高い頻度で起こり、特別な配慮が必要な状態です。
自閉症スペクトラム障害と重度の知的障害のある人に多くみられ、Fさんの状態に当てはまります。
5:× 気分障害は、うつ病や双極性障害など、気分の落ち込みや高揚が続く精神疾患です。
Fさんの状態には当てはまりません。
【ポイント】
強度行動障害は診断名ではなく、行動の状態を表す言葉です。
環境の調整や、見通しをもてる工夫など、本人に合った一貫した支援で行動の改善を図ります。